気管支喘息


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アレルギー疾患(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎)の患者の10-22%の方はアレルギー検査をしても何も陽性にならないことがあります。そのような人はアレルギーとは何も関係が無いのでしょうか。最近の研究では自然免疫が関係していると言われています。しかし実際はどうなのでしょうか。論文があります。アレルギーの検査をしても陰性の患者さんの家庭を訪問して徹底的に環境整備を1年間行ったところ喘息発作が改善しました。たとえ検査で陽性にならなくてもダニの除去を行うべきでであることが解りました。、

Kenji Nishioka  Effect of Home Environment Control on Children with Atopic or Non-atopic Asthma Allergology International. 2006;55:141-148
 








気管支喘息の増悪因子としてウイルスは重要な位置を占めています。特に風邪のウイルスであるライノウイルスは喘息発作を起こす主なウイルスの一つであり、最も重要なウイルスです。しかしこの論文では喘息増悪時に治療しても治療に十分反応しないウイルスはライノウイルスではなくRSウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルスであるとしています。パラインフルエンザウイルスは残念ながら日常の診療では検査できませんが、RSウイルス、インフルエンザウイルスは検査できます。重症発作を起こしたとき、入院の適用になるか否かの目安の一つになるかもしれません。

Joanna Merckx Respiratory Viruses and Treatment Failure in Children With Asthma Exacerbation PEDIATRICS Volume 142, number 1, July 2018:e20174105





二酸化窒素は代表的な大気汚染物質です。この論文では学校の教室内で測定した二酸化窒素の値が、生徒の肺機能と8ppb以上で逆相関するとの報告です。二酸化窒素が10ppb増加する毎にFEV1(呼気一秒量)/FVC(強制肺活量)比率が5%減少するとの報告です。姫路市では最も高値の飾磨地区でも2016年(平成28年)平均値は11.1ppbでした。最高の週でも16ppbでした。但しこのデータは学校ではなく大気汚染観測地点ですが、基本的には心配はいらないようです。この論文は米国の500の小学校のデータを集めたものです。

Jonathan M. Gaffin Nitrogen dioxide exposure in school classrooms of inner-city children with asthma Allergy Clin Immunol 2018;141:2249-55.







ペットとアレルギー疾患との関係は複雑です。私がアレルギーを専門として診療し始めた頃は、原則的に家の中でペットを飼育することは厳禁でした。しかしその後0歳時に2匹以上のペットを飼育していると却ってアレルギーになりにくいとの報告もあり、混沌としています。今回紹介する論文はやはりペットの飼育は喘鳴・喘息には悪影響があるとの論文ですが、この論文の中にも年齢の小さいこども(6歳未満)は却って犬の飼育が喘息の有症率が低いことが記載されています。しかしそれ以上になると犬・猫を飼育しているとエンドトキシンが増加し、喘鳴・喘息が増加するとのことです。ペットを捨てることは難しいので、6歳以上ではエンドトキシン、犬・猫の抗原を減らすために、掃除は重要なようです。エンドトキシンとは前回(下記)の農場の牛小屋等に大量に見られる物質で細菌(グラム陰性菌)の細胞膜にある物質です。0歳時に大量に暴露されるとアレルギーになりにくいことが多数報告されています。

Mendy A Exposure and Sensitization to Pets Modify Endotoxin Association with Asthma and Wheeze. J Allergy Clin Immunol Pract. 2018 Apr 21. pii: S2213-2198(18)30280-0. doi: 10.1016/j.jaip.2018.04.009. [Epub ahead of print]






An approach to the asthma-protective farm effect by geocoding: Good farms and better farms

農場で育った小児は以前より喘息になりにくいことが報告されています。この論文もその考え方を踏襲するものです。衛生仮説が以前より言われていますが、この学説は今も生きています。







The association between childhood asthma and adult chronic obstructive pulmonary disease

 外国では小児の喘息を長期に渡って追跡調査しています。この論文はオーストラリアでの調査で7年毎追跡し50歳まで追跡しています。その結果小児期に重症喘息であった児は50歳の時点では機能が低下し、COPD(閉塞性肺疾患)に進展するリスクが高いとの報告です。日本ではこのような長期の追跡調査はありません。くろさか小児科アレルギー科では喘鳴児を追跡調査しています。近日中にその途中経過を報告します。







Cytokine Responses to Rhinovirus and Development of Asthma, Allergic Sensitization, and Respiratory Infections during Childhood

 ライノウイルスは喘息発作を最もよく起こすウイルスです。このウイルスに対する反応が喘息患者さんでは喘息ではない人と異なります。このライノウイルスに対する反応と他の刺激(PHA)等に対する反応の違いによって喘息のタイプを分類してみる試みが論文になりました。ただこの検査は一般に行われることは難しく今すぐには役立ちません。しかし将来この方法によって喘息をタイプ別に区別し、治療に役立つ日が来るかもしれません。





Quintupling Inhaled Glucocorticoids to Prevent Childhood Asthma Exacerbations

吸入ステロイドによって現在重症の気管支喘息は激減しました。吸入ステロイドでコントロールしている気管支喘息の患者さんが発作を起こしたとき、吸入ステロイドを増量して発作を抑えようと試みる のは自然な発想です。しかし実際にはそれほど効果が無いようです。吸入ステロイドは今日なくてはならない治療です。しかしその効果はあくまでも発作の予防です。